ASAKADAI ANIMAL MEDICAL CENTER

[ 病気のお話 ]

整形骨折 前のページへ戻る >>

骨折は様々な部位で起こり、原因も様々です。最も多いのが外傷性骨折で、交通事故や落下など過剰な外力が加わることにより発生します。 近年、小型犬を室内で飼うことが増えたため、交通事故より、抱っこやソファーからの落下による骨折が多く見られます。
橈尺骨骨折
橈尺骨骨折
脛骨骨折
脛骨骨折
第3 中手骨骨折
第3 中手骨骨折
大腿骨遠位成長板骨折
大腿骨遠位成長板骨折
症状
骨折部位により様々ですが、四肢の完全骨折であれば骨折後すぐに著明な跛行(歩様異常)を呈するばかりでなく、 体重を支えることが不可能となり残りの三肢で歩行します。痛みも強く、患部を動かしたり、圧迫すると痛みは増強します。
診断
一般身体検査にて、全身状態の確認を行います。交通事故や落下などによる、全身の擦過傷、頭蓋内・胸腔内・腹腔内の出血の有無を確認します。その後、骨折が疑われる部位のX-ray検査、骨折の部位により、CT・MRI検査などの画像検査を行います。
一般的な診断、治療の流れ
  • 来院
  • 問診
    問診、臨床症状
  • 検査
    身体検査(触診、整形外科学的検査、神経学的検査)、X-ray検査
  • 骨折部位の確認、骨折の状態把握
  • 外科的治療
  • リハビリテーション
  • 退院
治療
骨の整復と固定は可能ならば極力早く実施すべきです。処置が遅れると、筋の拘縮や軟部組織の腫脹のために整復が困難になります。 さらに、骨折部の腫脹が解消するのを待っていると、その間に血腫の器質化と仮骨の形成が進行して、骨折が不正に癒着し、処置が一層複雑になります。
骨折の固定法
・外固定(非観血的整復)
ギプス包帯や接合副子(添え木)などにより骨折部位を固定。骨折片が離れておらず、若齢で早期に治癒が認められる可能性がある症例に適応。大腿骨・上腕骨の骨折には不適。人では比較的多く適応されるが、犬や猫では管理が難しくあまり適応されない。
・観血的整復
  • プレート固定
    骨折治療の主な目的の1 つは、損傷した肢の完全な機能も早期回復である。プレート固定は、適切に設置すれば再建した骨折部位の強固な安定性が得られ、この目的を達成するのに理想的な方法である。ほとんどの長管骨(上腕骨・橈尺骨・大腿骨・脛骨など)骨折に適応。
      《利点》
    • 強固な固定
    • 適応範囲が広い
    • 犬や猫の快適度
    《欠点》
    • 侵襲度が高い
    • 除去する時は、全身麻酔をかけなければならない
  • 橈尺骨骨幹部骨折整復後
    橈尺骨骨幹部骨折整復後
    脛骨骨折整復後
    脛骨骨折整復後
  • 創外固定
    金属製のピンやクランプで皮膚の外から骨折部位を固定する方法。骨が外に出ている開放骨折や、複雑骨折、傷口が化膿している場合に適応。
      《利点》
    • 低侵襲
    • 術後に強度の調節が可能
    • 開放性整復も可能
    《欠点》
    • ピン刺入部の感染の可能性
    • 神経・血管・筋・腱・靭帯の損傷の可能性
    • 術後の管理が必要
    • ピンの抜去が必要
    • 犬や猫が許容できるか不明、不快感が高い
  • ピン固定(髄内ピン固定、クロスピン法)
    ピン固定は、プレート固定などの補助として使用される髄内ピン固定と若齢の症例が起こす成長板骨折に適応されるクロスピン法がある。前肢や後肢の指(中手骨・中足骨)の骨折に髄内ピン固定と外固定を併用する。
  • 第3 中手骨骨折整復後
    第3 中手骨骨折整復後
    大腿骨遠位成長板骨折整復後
    大腿骨遠位成長板骨折整復後